②コンセプトを決めよう


1.コンセプトの重要性


 美容院の数は全国で480人に1店舗あるとも言われており、すでに飽和状態と言えます。(出典:厚生労働省)
 何か明確な惹きつけられる要因なしに、お客さんは新規オープンしたばかりの美容室を選んではくれません。

 そこで大切になるのが、明確なコンセプト設定です。


2.ターゲットは何を求めているのか


 第1章で決めたターゲットとなるお客さんがどんな雰囲気を求めていて、どういう気持ちになりたいと思って来店するかを考えてみましょう。より具体的に、お客さんに何が提供できるのか、どのような役に立つことができるのかという視点で考えてみましょう。

 しかし、漠然としたイメージだけではうまくいきません。
 ターゲットのペルソナマーケティングをして紙に書き出してから、対象のお客さんがどんな時に喜びを感じるのか、どんな風になりたいと思っているのか、何を思って生活しているのか、細かく考えることが大切です。


3.どんな思いで独立したのか


 そして同時に、開業する自分にとっても、それを実現させてあげたいと強く願っていることもまた重要なのです。自分の開業の動機でなければ、強い信念を持ってやり通すことはできないからです。例えば、ほんの小さな素振りひとつでも、強い信念や考えというものは伝わってしまうものです。
 強い信念は、お客さんに波及し、共感を生み出すことに繋がるでしょう。

 そして、コンセプトはお客さんに認知してもらうことと同時に、従業員に認知してもらうことも大切です。そのため、複雑ではないものではないわかりやすいものにするのが良いです。直接言葉でお客さんに説明するものではないので、店の雰囲気や従業員の立ち居振る舞いによって、直感的に理解してもらえるようなものが大切なのです。


4.コンセプトが決まったら


 ターゲットと店のコンセプトが決まったら、どの地域にどんな形態で出店するのが適切であるかを考えましょう。

 ターゲットのお客さんがほとんど訪れないような場所では来店確率は低くなってしまいますし、あまりにコンセプトに合わない土地では成功しにくくなってしまいます。その土地の年齢層や、街の特徴、競合となり得る店舗の有無、店舗の坪数や家賃などを入念に調べ、計画を立てましょう。

 例えば、自分の思い描く髪型をうまく店員さんに伝えることができず、うまくカットしてもらうことができなかったことが悩みで、その体験から、お客さんの要望を最大限に引き出し、さらにプロの目線でどのような手段で実現させるべきかをしっかり共有できるような美容院を目指そう、と考えたとしましょう。コンセプトは、お客さんが親しい友人を相手にしているようにリラックスして話しやすい環境作りと設定してみました。

 そうなると、あまりに高級感が溢れている高額な店ではリラックスできないでしょう。狭すぎて別のお客さんがすぐ隣で待機していると、自分の素直な思いを伝えづらいかもしれませんし、また暗い室内よりも、明るくてお互いの顔がよく見える雰囲気が良いかもしれません。

 つまり、コンセプトを明確にすることで、料金設定や坪数、場所が見えてくるのです。そして、料金設定や坪数や場所が見えてくれば、月々どれだけの売上が想定され、どれだけの支出が見込まれるのかがわかってきます。 そうした流れを経て、開業目的を実現し、なおかつ利益を見込むことができる物件を探すことに繋がるのです。

なおもしも美容院の内装・設計デザインを依頼するのであれば、Vakelがおすすめです。


①市場調査とターゲット選定


1.美容院業界の現状


まず現代の理美容市場の現状を把握することは、新規参入して売り上げを出し、利益を確保するための準備のひとつとして、はじめに取り組んでいなければならないものだと考えます。

 19年度の理美容市場の売上高は、前年比99.4%推移と、やや減少気味ではあるが、ほとんど維持しているという結果が出ています。しかし、美容施設が5万店ほど増えたこと、美容師数も増加傾向であることを加味すると、個店ごとの利益をベースに考えると、年々厳しくなっていることがわかります。売り上げ減少の原因としては、来店客数の減少と、再来店率の低下があげられています。
(出典:厚生労働省健康局生活衛生課 美容業)

 また、美容市場の傾向を見てみると、高付加価値型サロンと低価格美容サロンの二極化が進んでいるようです。中価格帯のサロンは、技術や質は充分に保有しているにも関わらず、他の店舗との差別化や優位性を顧客に認知されていないことが多く、苦難を強いられています。
(出典:株式会社矢野経済研究所)


2.ターゲットを絞ろう


 市場の概況がわかったところで、どうすれば顧客数を増やし、再来店率を高めることができるのでしょうか?

 例えば、お洒落な20代〜30代がよく通うようなお店に、サラリーマンの中年男性が何度も来店してくれるかと言うと、可能性は低いと考えられます。中年男性にしてみれば、周りが若い女性だらけの場所では帰属意識が感じられず、疎外感や居心地の悪さを覚えてしまうからです。

 つまり、ターゲットを明確に絞ることが大切であるのです。

 美容市場をめぐる現状を踏まえた上で、どの層をターゲットとすることが今の時代に適切なのかを考えてみましょう。

 例えば、わざわざ仕事の営業中に美容院に行く人はなかなかいませんので、自由に使える時間がどのように変化しているかを調べることで、現代人のニーズに気づくことができます。

 おそらく、多くの人が時間に追われていて自由に使える時間が減っているのではないかと予測するかもしれません。しかし実は、その反対なのです。1,200人を対象にしたアンケート結果では、「時間に追われていると感じますか?」という質問に対し、「感じる」と答えた人の割合は、2017年から比較して、2020年は10%近く減少していたのです。また、リモートワークをしている人々はオフの時間に使う金額が上昇しているという結果も出ています。つまり、仕事とそれ以外の時間が曖昧になりつつある現代において、しっかりとしたオフタイムに価値を求め、多くの金額を支払う意思があることを示しているのです。
(出典:SEIKO時間白書2020)

 つまり、自分で仕事の時間をコントロールしながら、オフの時間をいかに高付加価値にするかに重点を置いているのです。


3.ペルソナマーケティング


 続いて、想定する利用客を細かく設定してみることでさらに具体的な血肉ある姿を思い描くことができ、それは美容室の設計や、デザインをより詳細に考えることに繋がります。年齢、性別、仕事、所得、行動特性などを想定してみましょう。このように、特定の人物像を描いて考えることを、ペルソナマーケティングと言います。

 このように、現代の美容室市場と現代人のニーズを鑑みた上で特定のターゲットを描くことで、より具体的な設計案につなげることができるのです。続いて、さきほど決めた特定の利用客が何を求めているのかを考えることで、店のコンセプトを決めていきましょう。


③事業計画書を作成しよう


1.事業計画書を作成する理由


 事業計画書とは、他者に事業の魅力や将来性、概要を伝えるための計画書のことです。事業計画書を作成することにより、事業がどれだけ利益を出していくことを目標にしているのか、収益と支出の面から明確にすることとができます。

金融機関に融資を受ける際に必ず必要になるもので、どのような目的で開業を希望しているのか、資金調達はどうしようと考えているのか、事業はどれだけの利益を出すことが見込まれているのかを明確に記されなければなりません。

 また、金銭面の整理をすることだけが目的ではありません。収支の構造を具体的に導き出していくことで、コンセプト設定したターゲットに対して、どのような価格設定で1日に何人の来客を想定しているのかを考えたり、薬剤の材料の費用やスタッフの雇う人数までをも具体的に想定したりしなければならないのです。

 そういった作業を経ることで、より現実的な収益を生む事業として成り立つのかどうかを精査する機会になるのです。


2.何を書けばいいのか?


 では、具体的に一体何を書いていけばいいのでしょう?

 ポイントとしては、3つです。

 1つに、経営者が技術力を有していること、また経営管理能力を有していることを示すことです。これまでの目に見える実績を具体的に記載しましょう。

 次に、開業資金を集める方法を記載します。

 開業には多額の資金が必要になります。開業に必要な総資金のうちの30%は自己資本で賄えるように準備しましょう。残りは、銀行や日本政策金融公庫などから借りることになります。
 保証人の有無や担保など、機関によって様々なので事前に調べておきましょう。またその際、今後開業に際して、何にどれだけの出費をする必要があるのかを明確に記載し、明示することが大切です。
 店舗保証金や保険、広告費、人件費などが該当します。ちなみに、機材などはリースにすることも多いようです。


3.事業の見通しについてシミレーションしよう


 順番に、売上高の設定→売上総利益の設定→営業利益の設定と進めていきます。

 売上高は、お客さんの数×支払い単価で見込みの計算をします。
 お客さんの数は、店の広さと椅子の数から想定する計算方法と、スタッフの人数から想定する計算方法があります。

 続いて、支払い単価ですが、こちらはメニューの金額と、そのメニューをどのくらいの頻度で利用するのかを予測して計算します。そうやって導き出されたお客さんの数×支払い単価を計算し、売上高の見込みを産出します。

 続いて、売上総利益についてです。これはざっくりした利益を算出することを目的とします。簡単に言うと、材料費や外注費など経費としてかかる費用=仕入れ高を計算し、売上高から引いて計算します。

 そうして導き出された売上総合利益から、人件費や広告費などの一般管理費を引くことで、営業利益を導きます。

 一般的な目安としては、人件費は売上高の50%以下、水道光熱費は売上高の5%以下、家賃は売上高の10%以下とすることが多いようです。

 こうして計算された営業利益をもとに、月ごとの収支シミュレーションを作成します。どれだけのお客さんを集客し続けなければならないか、どれだけの価格設定が適切なのか、目標値を設定していくのです。


④注意!見積もりは慎重に


1.スケルトンか?居抜き物件か?

スケルトンとは、何の設備も残っていない物件です。原状回復がすでに終わっているため、0から自分の理想の店舗を作り上げていくことができます。

対して居抜き物件は、以前の使用者の設備などが残っている物件で、自由度はききませんが、費用を安く抑えられるというメリットがあります。思い描く理想の設備に近い居抜き物件があればいいとこ取りをすることができるでしょう。

ただし、居抜き物件にも注意が必要です。空調、水道などの耐久年数があまりもたないものであれば、改修工事をして撤去費用と設置費用を払わなければならない可能性があるからです。


2.坪単価で比較しよう


内装工事費用は、開業資金のうち半分を占めるとても大切なものです。安く仕上げることも大切ですが、あまりに適性価格から離れた安価な工事では、長期的に見れば損をしてしまうこともあります。おおよその費用の適正価格というものを把握しておきましょう。

その際の指針となるのが坪単価です。つまり、1坪あたりどれくらいの費用がかかっているかを示すものです。だいたい20万円〜40万円は通常グレードで、より高い資材を使った場合などは50万円を超えるケースがあります。

また注意点として、14坪以下の内装工事では坪単価が割高になる傾向があります。これは、15坪と10坪の工事に対してかける職人の人数や設備の容量などが同じでいい場合、効率が悪くなってしまうからです。


3.相見積もりは必ずしよう


 相見積もりと聞くと、複数社に見積もりを出してもらい、一番安い業者と契約するとざっくり考えがちです。しかし、業者ごとに好きなデザインをして好きな資材を選んでもらって見積もりを出してしまうと、基準値がばらばらであるために一概に表面的な工事費用だけでは比較できないのです。

 つまり、工事業者を選定する前に、あらかじめどんな資材を使い、どんなデザインにするかを決定しておかなければならないのです。

 そのため、始めに店舗デザイン設計会社を決めておき、デザインの詳細まで突き詰めた後、同じ条件で一番安く施工してくれる業者はどこか、相見積もりを出してもらう手順が正しいのです.


4.一括発注と分離発注


 店舗デザインから工事まですべて一貫して同じ会社に依頼することを一括発注と言い、デザインと工事を別の会社に依頼することを分離発注と言います。

 ポイントは、開業主が何を優先させるかということです。一括発注は信頼できる業者に依頼することができれば、安心して頼むことができ、また手間や労力も省くことができます。またスケジュール調整も簡単で期間的にも早いと言えます。

 対して分離発注の場合、スケジュール管理が難しい点や交渉に時間がかかる点などが挙げられます。どうしてもというこだわりのデザイン会社がない限り、実は一括発注の方が得だと言えるのです。

 では先述した相見積もりは分離発注ではないのか?と思うかもしれません。しかし、実は一括でデザインから施工まで行う会社は、何社か協力施工会社というものを抱えているため、その会社同士で競争させることでコストを抑えさせているのです。

 つまり、一括発注でも相見積もりは可能なのです。


⑥【売上直結】価格設定の基本


1.価格設定を慎重にするべき理由


 価格は一度決定してお客さんに定着してしまうと、上げづらく下げやすいものになってしまいます。

 値上げとは、すなわち、普段から利用してくれているお客さんからすれば損失になってしまうので、値上げにはとても敏感なのです。明確な理由がなければ、店の利益だけを追求していると思われて信頼を失ってしまう可能性があることを念頭に置いておきましょう。

 その他、価格だけに重きを置いてしまうことも良くありません。

 他店よりも安くすることだけを考えてしまうと、価格競争になってしまい、薄利多売の構造になってしまいます。そうすると、他店との価格競争によって売上高が低下し、消耗してしまうことになりかねないのです。


2.コンセプトとターゲット


 価格競争に持ち込み、他店よりも安いことを売りにして獲得するのか?それとも質を重視し、そのクオリティのサービスにはこれくらい払ってでも欲しいと思わせるものを高い価格で売るのか?

 コンセプトとターゲットによって、やはり価格戦略は変えていかなければなりません。

 例えば、隙間時間を縫って、毎回どこに出しても恥ずかしくない質で、いつもと変わらない髪型に、できるだけ安価に切ってもらいたい忙しい40代後半の会社員をターゲットにしているなら、彼らは高い付加価値を求めるよりも、低価格や安定した質、あまり喋りかけてこない静かで淡々とした店を選択するでしょう。

しかし、流行に敏感な30代女性であれば、理想のための自分に近くために高い金額を支払うかもしれません。

 価格設定は、売上高に直結する要件なので、事業計画書を練る際に考えたように、どれだけの顧客をどれくらいの回転率で見込んでいて、どれくらいの価格設定であれば充分な売上高を獲得することができるのかを考えなければなりません。


3.価格設定のコツ


 他店と自分の店では何が違うのかを考え、お客さんにより付加価値を与えられるものには自信を持って高い値段をつけましょう。

 実は、これだけのお金を支払っているのだからそれだけ価値のあるものに違いない、と感じる心理があるのです。
 反対に安すぎる価格は、それだけの価値しかない、と思われてしまう要因にもなります。

 また、松竹梅と3段階の価格設定にすると2番目に高いメニューが選ばれやすいという心理もあります。
 ですので、もしメニューに段階をつけて提示できるものがあれば、是非3段階にして訴求してみましょう。

 また価格構造の話になりますが、昨今ではサブスクリプション制度を導入する店舗もあるようです。
 定額料金で通い放題という制度です。こうすることで、単純接触効果を得られ、通えば通うほどその店に親近感を覚えるようになり、定着してくれるお客さんが増えるきっかけになり、他のメニューに興味を持ってくれるお客さんも増えるでしょう。
 他店からのお客さんを奪取し、囲い込むことにも繋がります。
 以上のことを意識してみてくださいね。


⑤内装設計はお客さんと従業員のために


1.内装と居心地の良さ


 コンセプトとターゲットとなるお客さんに合わせた内装設計が大切です。昨今の美容室市場全体の売上推移は維持しているものの、1店舗あたりの利益は縮小傾向です。その大きな原因となっているのがお客さんのリピート率の低下です。お客さんに何度も通ってもらうためには、髪型の仕上がりの質だけではなく、居心地の良さも重要であることを理解しておきましょう。

 コンセプトに合わせて始めに考えるべき点は、オープンスタイルな設計にするのか、それとも個室や半個室を主軸にした設計にするのかどうかです。例えば、気軽に訪れて肩肘張らないのはどちらかと言えばオープンスタイルの方であり、気品があり落ち着いて過ごしたい人や、プライベートを大切にしたい人は個室を望むでしょう。ターゲットが何を好む傾向があるのかを把握して考えましょう。


2.セット面とシャンプー台


 続いて、セット面の数とシャンプー台の数を考えなければなりません。

 一般的な小規模の美容室では、2人の美容師が2人のお客さんの対応をするため、セット面を2セット、シャンプー台を1台用意すればひとまずはOKです。
 ただ、パーマやカラーリングなどの施術で時間をあけなければならない際に手が空くことが想定されるため、セット面を3台用意するケースも多いです。

 ただし上記はあくまで一般的な組み合わせの例であり、セット面とシャンプー台の数は、店のコンセプトや売上の構造によって柔軟に対応するべきです。

 例えば、お客さん単価の高い店であれば、回転率を優先させることよりも、より長い時間をかけて丁寧な施術と、お客さんの定着率の向上を重視するべきなので、セット面は2台で充分であるのかもしれないのです。反対に、回転率を重視してメニューは比較的安価に設定するのであれば、より効率の良いお客さん対応が必要なため、セット面は多めに用意しておくことが大切でしょう。

 ただし、セット面を4台以上置くような規模の店舗を考えている場合は、シャンプー台は原則として2台は用意しておくようにしましょう。

 また、設備の数だけではなく、配置にも気を使わなければなりません。
 外光がよく入ってくる店舗なのか、それとも室内照明だけで済ませる店舗なのか、照明に対して最適なセット面の配置を選ばなくては、お客さんに居心地の悪さを感じさせてしまうかもしれません。
 例えば、外光が鏡に反射して眩しいと感じてしまっても、すぐに言い出せず我慢しなければならないお客さんがいたとすれば、当然不快になってしまうでしょう。


3.動線は簡単には修正できない!


 設備の配置にも関わってくることですが、動線を考えることは、開店以後のお客さんと従業員の満足度を高めるためにとても大切なことです。

 動きづらい点や、お客さんが不利益を被ってしまう配置にしてしまっていることに後々になって気づいても、すぐに修正することができないからです。

 例えば、お客さんを迎える際の動線と、カラー材を作りに行く動線は絡み合っていないか?髪の毛を掃除する道具を取りに行く動線は他の動線と絡み合っていないか?など、実際に働いた時に、従業員とお客さんがどこをどのタイミングに動くのかを把握し、最適なものを選ばなければならないのです。

 もしカラー剤を持った従業員が他の従業員と衝突してしまえば、それだけで材料費のロスと、掃除のための時間のロス、お客さんを待たせてしまうことにもつながりかねません。慎重に考えましょう。


⑦保健所のチェックについて


1.申請の流れについて知っておこう


 保健所のチェックポイントの中には、セット数や照明の明るさやガスや水道の設備などの基準をクリアしていなければならないものもあり、施工がすべて終わってからでは対応できないものもあります。

 そのため、保健所のチェックを念頭に置いた設計と工事が必要になります。


 施工前や営業前に保健所に調査してもらいアドバイスを受けることで、開業前になって指導を受けてしまい開業が予定通り進まないという事態を避けることができます。


2.何を提出すればいいのでしょうか?


 保健所に提出する書類は以下の7種類です。※外国籍の場合は8種類です

  • 容所開設届
  • 施設平面図
  • 施設への案内図(地図)
  • 美容師免許証
  • 管理美容師資格認定講習会終了証
  • 医師の診断書(結核・伝染性の皮膚疾患について)
  • 従業員名簿
  • 法人登記事項証明書 ※ 開設者が法人の場合のみ(開設者が外国籍の場合)外国人登録証明書

上記を順番に見ていきましょう。

 1.容所開設届

開業する人の名前や住所、施設の名称や開業日などの基本的な情報を伝えるためです。

 2.施設平面図

建物の規模や設備についてを保健所で入手できる書面に記入します。

 3.施設への案内図(地図)

施設の場所を示す地図です。ビルの中にある場合は、どの施設のどこに配置されているのかを示します。美容師免許証

 4.管理美容師資格認定講習会終了証

 5.医師の診断書(結核・伝染性の皮膚疾患について)

3ヶ月以内に取得した、従業員全員の医師の診断書が必要です。結核や伝染性皮膚疾患の有無がわかるものを提出します。

 6.従業員名簿

従業員全員が美容師免許証を持っているかどうかもチェックポイントです。

 7.法人登記事項証明書

開業者が法人の場合、6ヶ月以内に発行された、法人登記事項証明書の原本が必要です。

 8.外国人登録証明書※開設者が外国籍の場合


2.どんな審査基準で判断されるのか?


  • ・床は、コンクリートやタイル、リノリウムや板など不浸透性材料を使うこと
  • ・客待ち場所は、作業室と明瞭に区分すること。作業中の客以外を作業室にみだりに出入りさせないこと
  • ・1作業室の面積は13m²以上であること(内法により算定)
  • ・ 美容いす(セットイス、シャンプーイス、コールド待ちイス等)は、 作業室面積13m²の場合、6台まで、さらに、美容いすを1台増すごとに3m²を加えた面積以上とする。 
  • ・採光、照明及び換気を充分に確保
  • ・作業面は100ルクス以上
    ・ 室内の炭酸ガス濃度は0.5%以下 

(出典:東京都西多摩保健所「美容所のてびき」)


3.衛生管理も大切


  • ハサミ・クシ・ブラシ・タオル等は一客ごとに取替え、適正に洗浄・消毒したものを使用すること。
  • 洗浄・消毒済みの器具・布片類は使用済みのものと区別し、専用の場所に清潔に保管すること
  • 施設は常に整理整頓し、清潔に保つこと
  • 床などの毛髪は一客ごとに清掃し、ふた付きの専用容器に集めること
  • 作業中は清潔な作業衣を着用し、顔面作業の際はマスクをすること
  • 一客ごとの作業前後に手指を消毒する等、身体は、常に清潔に保つこと
  • 従業者は定期的に健康診断を受けること

 などがある。


4.消毒の基準について


・流水装置のある洗場・消毒薬・計量器具・未消毒器具容器・器具消毒用容器 ・器具乾燥棚等を備えること

などがある

⑧売上を伸ばすためにやること


1.開業後にまずはこれをやろう


 またまた書類とうんざりしてしまうかもしれませんが、開業届というものを開業後1ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。

 納税地の税務署に対して届けを行います。
 内容は本人や店舗についての情報が中心になりますので、難しく考える必要はありません。所定の用紙を用意し、必要事項を淡々と記入していきましょう。

 そして同時に、青色申告承認申請書というものを提出することを忘れないようにしましょう。
 これを提出することにより、税金の控除金額の増加や、納付税額の減少が期待できます。白色申告に比べて、青色申告にすることで65万円を減税させることができますので絶対忘れないようにしましょう。
 また経費の購入金額についての利点もあるので、詳しく調べておきましょう。


2.お客さんを集めたい!



 実は、集客はオープン前から準備しておくことが大切です。以下に具体的な方法を記載してみましたので、参考にしてみてください。

  • ホットペッパービューティー
  • SNSでの宣伝
  • ホームページの作成
  • ポストチラシ
  • Googleマイビジネス

ホットペッパービューティー

 働く20代〜30代をメインターゲットにした知名度の高いサイトです。
 アプリもあり手軽に検索することができ、使い勝手も簡単なため、まずはここから検索をするという人も多いでしょう。
 このサイトでは、メニューからの検索はもちろん、サロンの特徴や雰囲気、価格、悩みから検索する方法まで豊富に調べることができるため、自分の店舗の特徴は何か、何が強みなのか、どんな悩みを解決してお客さんを喜ばせることができるのかを深く考えることが大切です。

 他の店舗にはない特徴をうまく訴求することができれば、根強い固定客を獲得することに繋がるでしょう。

SNSでの宣伝

 最近では、Instagramに掲載されているお洒落な髪型のモデルを見て、こんな風になりたいと願って来店するケースが増えているようです。
 またその場合、店を選ぶだけでなく、直接美容師を選ぶことになるため、より信頼のある繋がりを獲得することができます。
 開業前からでも、以前の実績などを写真付きでアピールすることにより、興味を持ってくれるお客さんを惹きつけることができるでしょう。

ホームページの作成

 ホームページを作成することにより、美容院の雰囲気や理念などをうまく訴求することができます。長い文章を読んでもらうためには、読者が知らないような豆知識や、家でできるヘアケアなどを掲載することで信頼感を得ることに繋がるでしょう。

ポストチラシ

 ポストチラシはターゲットが40代以上など若者向けではない際には有効です。ターゲットによっては使用してみるのもひとつの手段だと考えておきましょう。

Googleマイビジネス

 Googleマイビジネスに登録することで、Google検索やGoogle マップの検索時に、店舗情報を表示してくれます。
 Google マップなどで周辺にある美容院を検索した際にヒットするので、家の近くにあったり、まさに今どうしても美容院に行きたいと思ったりしている人が探し出すことを手助けしてくれるでしょう。
 しかし、現代では地図から美容院を探すことよりも、ウェブ上やアプリで美容院を探し出してから地図を使って向かうことが多いと考えられます。


3.リピーターを増やそう


 美容院の利益が逓減傾向にあるのは、再来店率の低下によるものが大きいと多くの美容院が考えています。それでは、固定客を獲得するためには何が必要なのでしょうか?

 美容院はただ髪を切ってもらうことだけではなく、店に入店してから帰るまで、あるいはその日以降の生活にまで続く体験に付加価値があるかどうかを重要視されています。

 髪型の仕上がりももちろん重要ですが

  • 店の居心地や
  • スタッフとの会話
  • 料金
  • 帰宅後の髪の状態
  • その後の生活に施術後の髪がどんな良い影響をもたらしてくれたのか

など、お客さんが店を評価するポイントは実に多岐に渡ります。

 毎日通うような場所ではないからこそ、できるだけ持続的に良い印象を持ってもらうことがとても大切なのです。

 例えば、髪の質を高めてもらうために、自宅でできる簡単な習慣を試してもらうことに成功すれば、お客さんの努力であるのに店に対する満足度が高まり、また行こうと思わせることができたりするのです。

 また最近では、その美容院だから通うのではなく、施術してもらいたい美容師がいるから通う、という人も多いと思います。

 より個人と個人との信頼感や結びつきを大切にする傾向が高まっていると考えられます。

 その点、SNSで継続的に発信することは、何度もお客さんの目に触れることになるため、単純接触効果によって知れずと信頼感を高めてもらうことに繋がったりします。