⑤内装設計はお客さんと従業員のために


1.内装と居心地の良さ


 コンセプトとターゲットとなるお客さんに合わせた内装設計が大切です。昨今の美容室市場全体の売上推移は維持しているものの、1店舗あたりの利益は縮小傾向です。その大きな原因となっているのがお客さんのリピート率の低下です。お客さんに何度も通ってもらうためには、髪型の仕上がりの質だけではなく、居心地の良さも重要であることを理解しておきましょう。

 コンセプトに合わせて始めに考えるべき点は、オープンスタイルな設計にするのか、それとも個室や半個室を主軸にした設計にするのかどうかです。例えば、気軽に訪れて肩肘張らないのはどちらかと言えばオープンスタイルの方であり、気品があり落ち着いて過ごしたい人や、プライベートを大切にしたい人は個室を望むでしょう。ターゲットが何を好む傾向があるのかを把握して考えましょう。


2.セット面とシャンプー台


 続いて、セット面の数とシャンプー台の数を考えなければなりません。

 一般的な小規模の美容室では、2人の美容師が2人のお客さんの対応をするため、セット面を2セット、シャンプー台を1台用意すればひとまずはOKです。
 ただ、パーマやカラーリングなどの施術で時間をあけなければならない際に手が空くことが想定されるため、セット面を3台用意するケースも多いです。

 ただし上記はあくまで一般的な組み合わせの例であり、セット面とシャンプー台の数は、店のコンセプトや売上の構造によって柔軟に対応するべきです。

 例えば、お客さん単価の高い店であれば、回転率を優先させることよりも、より長い時間をかけて丁寧な施術と、お客さんの定着率の向上を重視するべきなので、セット面は2台で充分であるのかもしれないのです。反対に、回転率を重視してメニューは比較的安価に設定するのであれば、より効率の良いお客さん対応が必要なため、セット面は多めに用意しておくことが大切でしょう。

 ただし、セット面を4台以上置くような規模の店舗を考えている場合は、シャンプー台は原則として2台は用意しておくようにしましょう。

 また、設備の数だけではなく、配置にも気を使わなければなりません。
 外光がよく入ってくる店舗なのか、それとも室内照明だけで済ませる店舗なのか、照明に対して最適なセット面の配置を選ばなくては、お客さんに居心地の悪さを感じさせてしまうかもしれません。
 例えば、外光が鏡に反射して眩しいと感じてしまっても、すぐに言い出せず我慢しなければならないお客さんがいたとすれば、当然不快になってしまうでしょう。


3.動線は簡単には修正できない!


 設備の配置にも関わってくることですが、動線を考えることは、開店以後のお客さんと従業員の満足度を高めるためにとても大切なことです。

 動きづらい点や、お客さんが不利益を被ってしまう配置にしてしまっていることに後々になって気づいても、すぐに修正することができないからです。

 例えば、お客さんを迎える際の動線と、カラー材を作りに行く動線は絡み合っていないか?髪の毛を掃除する道具を取りに行く動線は他の動線と絡み合っていないか?など、実際に働いた時に、従業員とお客さんがどこをどのタイミングに動くのかを把握し、最適なものを選ばなければならないのです。

 もしカラー剤を持った従業員が他の従業員と衝突してしまえば、それだけで材料費のロスと、掃除のための時間のロス、お客さんを待たせてしまうことにもつながりかねません。慎重に考えましょう。


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